三十年聖書を読んできた私の経験からお答えしたいと思います。私が初めて聖書を読んだのは高校一年の時でした。ところが、新約聖書の最初に、「アブラハムにイサクが生まれ、イサクにヤコブが生まれ｣と書いてあるのを見て、｢聖書の時代は男性が子どもを生んでいたのか！」とびっくりしました。もちろんこれは誤解だったのですが、後に私は、やはり聖書は子どもを生んで育てることについて、「男性が子どもを生む」こと、つまり、男性（夫＝父親）がしっかり女性（妻＝母親）と協力して責任を持つ事が祝福になる、と教えていることを発見したのです。これは夫婦で力を合わせて子どもを愛し育てるという、いつの時代でも尊重すべき真理ではないでしょうか？

　この最初の出会い以来今日まで、聖書は私にとって驚きと真理発見の書です。聖書からまず驚かされることは、まことの神への驚きです。私は以前、自然が神であるとか、人間が神になると考えていましたから、「初めに、神が天と地を創造した」という聖書冒頭の宣言は驚きでした。しかし今の私は、多くのクリスチャン科学者とともに、星の世界から素粒子の世界まで天地創造の神の知恵と力が満ちあふれていることを確信しています。

　「神がすべてのことを働かせて益としてくださる」（ローマ人への手紙８章２８節）ということばも、最初は半信半疑でしたが、今は、本当に「すべてのこと」を神が益にしてくださることを知っています。さらに、神が全知全能であること、罪人を愛してくださることなど、まことの神についての驚くべき真理を、私は聖書から発見し続けています。聖書を読むときには、ぜひまず、神のすばらしさを知ってください。

　次の聖書からの驚きは、人間についての驚きです。一人の人のいのちが全世界よりも尊く、神の御子が身代わりになって死んでくださるほどに、私という人間が神の目に価値ある尊い存在であるということばは、天地が引っくり返ったような驚きでした。また、自分を善人と思っていた私には、人間が生まれつき罪人で、神や隣人よりも自分をまず愛していること、すべての人が神の法律を破っているため神の刑罰を受けなければならないという教えは、もっと大きなショックでした。しかし、聖書を読みつつ生きてきて　私は自分が罪人であることがよくわかってきました。キリストに愛されていたにもかかわらず、自分が迫害を受けそうになると師を裏切ったペテロの弱さが、私の中にもあると知らされています。

　私は今まで、人間の恐ろしいほどの罪深さ、互いに愛し合えない自己中心、共に平和に生きられない愚かさ、自分たちの問題を自分たちで解決できない弱さ、罪と悪と死の力に対する人間の無力さなどの聖書の教えも、真理であることを発見してきました。聖書を読む時には、ぜひ人間、つまり自分自身の尊さと罪深さの両方を知ってください。さらにまた私は、神が私たち罪人に与えてくださる救いの豊かさに驚かされています。私にとって、キリストによる救いは、聖書が言うとおり、「目が見たことのないもの、耳が聞いたことのないもの、そして、人の心に思い浮かんだことのないもの」（コリント人への手紙第１・２章９節）でした。キリストが聖霊によって私たちを新しい人に造り変えてくださるという救いを、三十年前はとても信じられませんでしたが、今では、私がキリストによって変えられたということを、数十人の人々が証言してくださいます。

　聖書は、偉大な真の神が、人知を越えた大きな愛で私たちを愛し、キリストの十字架の死によって私たちを罪から完全に解放してくださること、私たち人間が天地創造の神の子どもとされる恵み、永遠のいのちの祝福など、キリストによる豊かな救いを与えて下さるという、驚くべき救いを教えているのです。ぜひ、聖書から、神の救いの豊かさを知ってください。

　あなたも聖書をお読みください。「福音書」から、一日に一章ほどを読まれるようにお勧めします。そして、読んだ箇所から、第一に、神（父なる神、キリスト、聖霊）がどんなにすばらしいお方かを知り、神を賛美してください。第二に、神がどんなにすばらしいことを、すでにしてくださったか、今、していてくださるか、これからしてくださるかを知り、神に感謝してください。第三に、神が人間（自分）に何を願っておられるかを知り、神のみこころに反することを悔い改め、神を愛し、神を信じて従う告白をしてください。

　聖書は教会に与えられた神のことばです。教会は聖書によって生きてきましたし、聖書を守り伝えてきました。聖書は一人で読んでいますと、正しく理解できないだけでなく、まちがった理解をしてしまうこともあります。ぜひ、礼拝や聖書を学ぶ集会に参加して、教会の交わりの中で聖書を読んでください。